渡辺糺と大坂の陣


    文:ガードリーダー

大河ドラマ・徳川三代で一躍有名になったといえばこの人、渡辺糺(わたなべただす)だ。
豊臣家の重臣として秀頼の側近を務めるこの人を、俳優・梨本謙次郎氏が熱演!
史実上では知名度の低い渡辺糺。(残念ながら信長の野望にも出てこない。)
でも徳川三代ではかなりおいしいところに出てきます。
今回は彼の動向・発言を調査してみた。



場面その一、片桐且元への疑念

まずはドラマ初登場時、場面は豊臣家の重臣片桐且元の謀反疑惑。
且元が本当に裏切ったかどうか、会議する場面で糺はこう口を開く。


渡辺糺:・・・・・やはり寝返ったか。


いきなり決めつけてます。
気が短いのか、それともよほど穏健派の且元さんが嫌いだったのだろう。
血気盛んな大野兄弟とともにいきなり且元誅殺を唱えます。

もちろんこれは家康の仕組んだ罠だったのですが、大坂の諸侯はそんなのお構いなし。


渡辺糺:役宅に手勢を!

大野治房:ただちに討つべし!


「豊臣家に人なし」といわれた当時、まさに豊臣家の人材不足は深刻だったのです。
まあもっとも譜代の中で良識派の若武者・木村重成は、

木村重成:罠ではあるまいか?且元に疑念を抱かせ、君臣の仲を裂かんがための計略。

と警告をしていましたが。



場面そのニ、方針決定会議にて

ついに開戦。浪人を含めた大坂城武将たちの初会議です。
このとき、糺は開口一番、

渡辺糺:ご下命あらば所司代・板倉勝重を生け捕りにいたさん!

と自信たっぷりに言ってます。
このときのしゃべり方がかなり面白いです。
いよいよ渡辺糺ワールドにエンジンがかかってきました。






場面その三、真田丸建設議案

名将、真田幸村は大坂方に勝ち目が薄いの知っていた。
幸村の提案する野戦案は却下されたが、幸村は起死回生の要塞・真田丸の建築を提案。
大坂城には弱点がある、幸村の作戦に諸侯は驚いていたが渡辺糺は特に目立っていた。
大坂城の南側の防御は不十分と唱える幸村についに糺さんキレます。


渡辺糺:太閤殿下の築城なるぞっ!!


せっかく意見したのにこんなことを言い返されたらたまりません。
結局真田丸は承認されますが糺は、


渡辺糺:たちまち全滅じゃ!

と、捨て台詞を吐いてます。





場面その四、和平後・浪人との会議にて

大坂冬の陣は和議と相成りました。
家康という共通の敵を無くした大坂方譜代と浪人は対立を濃くしていきます。
とくに家臣として召抱えると約束されていた浪人組は激怒しまくり。


塙団右衛門:今後の我らの扱いやいかに!?家臣として召抱えるのか?

後藤又兵衛:即答あるべし!

明石全登:この期におよんでよそ者扱いは合点が参らん!

長宋我部盛親:士分にとり立てる約束で加勢を求めたるは、どこの誰ぞ!?



もはや手がつけれない浪人軍団。
暴走浪人軍団に一喝したのは大野治長でもなく、真田幸村でもなかった。


渡辺糺:いくさに勝てばの話じゃ!!


渡辺糺さん、あんた凄いよ・・・・。





場面その五、大坂方総崩れ

野戦にうってでた大坂方は圧倒的な徳川の物量の前に次々に壊滅。
秀頼本営に来る伝令たちは後藤又兵衛、薄田隼人守らの戦死を知らせる。

しかし渡辺糺はそれらの伝令にも動揺せず、「あいわかった」と言葉を返すのみ。
糺さん、味方の劣勢とは裏腹に実に堂々としております。


そんな中、また一人の伝令が本陣にやってきます。





皆様、お待たせしました。
そう、徳川三代総集編にも出てきたあの名シーンです。









伝令:申し上げます!木村重成殿、若江にて戦死!!









渡辺糺:なんじゃとぉっ!?




このときの渡辺糺の言い方が最高に面白いです!!
そう、ただ単純に。
しかし木村重成って20過ぎたばかりの若輩なのに相当信頼されていたんですね。
渡辺糺さんの虚勢もついに崩れました。


ああ、大坂城が燃えてゆく・・・・・。